イヤイヤ期とよばれる、子供が何かにつけてイヤイヤと反抗する時期があります。
大人から見たらなんでもイヤイヤ言って反抗しているように映るかもしれませんね。
でも子供からしたら、自分の意志や望みを叶えようとしているところを、なかなかそれが叶わないと、なんとか叶えたいと思い行動しているにすぎません。
成長して手足がある程度自由に動かせるようになると、自分を表現する幅が広がるので、子供にとってはワクワクする時期でもあります。
でも、大人にとっては都合が悪く思う事もたびたび起こります。
そしてイヤイヤ期の特徴の一つとして、子供が物を投げるという行為があります。
食べ物を投げられたら部屋が汚れてしまうし、割れ物を投げられたら危ないですね。
投げたものに当たって、家財や家具が壊れてしまうかもしれません。
そんなイヤイヤ期にありがちな物を投げる子供の気持ちを考え、その子供にどう対処したらいいのかをここではご紹介します。
物を投げるイヤイヤ期の子供の心理は?
子供といっても、ひとりの人格を持った人間です。
喜怒哀楽を感じ、日常でストレスがたまることもあります。
そして大人よりも意図が純粋な分、その表現は素直です。
そのため、物を投げる時の子供の心理は、子供の表情や状況をよく見てみると分かってきます。
ここでは、子供が物を投げる時の状況3パターンを解説します。
子供が特に不愉快に感じるような状況になく、物を投げている場合
この場合は、物を投げるという事を実験して物を投げたらどういう結果になるかという事を観察して楽しんでいます。
物を投げることを楽しんでいる場合は、投げる前や投げた後にその物を見て笑っている事もあります。
純粋な好奇心で行動しているときは、子供の能力や才能を伸ばすチャンスです。
出来るだけ子供の好きなようにさせてあげることで才能豊かな子に育ちやすくなります。
不機嫌そうに物を投げている場合
何か解消しきれない想いを表現しています。
だいたいは、「寂しい」「悲しい」という気持ちが根本にあります
「寂しい」「悲しい」という気持ちを土台に、その上に「怒り」「ゆるせない」「くやしい」という気持ちが表れます。
「怒り」「ゆるせない」「くやしい」という気持ちは活動的なエネルギーを発生しやすいため、物を投げるという行為につながります。
物を投げた後にこちらの様子をうかがっている場合
以前、物を投げた時にお母さんや周りの誰かが反応したのでしょう。
物を投げれば、自分を見てもらえる、気にかけてもらえると学習しています。
自分を見てもらいたいと思うのも、寂しい気持ちからだったり、一緒に遊んでほしいという願いから来ます。
このように子供が物を投げる時は、
- 純粋に楽しんでいる
- 解消しきれない気持ちを表現している
- かまってもらいたい
こうした3つの心理か、それらが合わさった時に起こります。
次の項目では、この3つの状況に対する対処法をご紹介していきます。
物を投げるイヤイヤ期の子供に親としてどのように対処すべき?
子供が特に不愉快に感じるような状況になく、物を投げている場合
壊れても大丈夫なものだけ手の届くところに置くか、壊れてほしくないものは子供が手に出来ない場所に置くか隠してしまいましょう。
投げてもらいたくない物を投げた時は、子供をしつける良い機会になります。
目を合わせて、
と言葉に意思を宿して一言伝えましょう。
一度に言い過ぎるとこちらの意図を正しく認識しづらくなるので、一言にとどめておきましょう。
不機嫌そうに物を投げている場合
「寂しい」「悲しい」という気持ちの土台の上に、「怒り」「ゆるせない」「くやしい」という気持ちが表れます。
この場合の「怒り」や「ゆるせない」「くやしい」は、お母さんといった誰かにたいして向けられているように感じても、実は子供は自分自身に向けています。
その場合まずは、「怒ってるの?」「悲しいの?」「寂しかった?」など、子供の気持ちを代弁してあげましょう。
目を合わせ、子供の様子をよく見ます。
子供が大人しくなったら抱きしめてあげましょう。
子供に寄り添ったりスキンシップをとることで「怒り」「ゆるせない」「くやしい」といった気持ちが表れることになる根本的な原因になった「悲しい」「さみしい」を癒すことが出来ます。
「悲しい」「さみしい」を癒しつつ、活動的なエネルギーはスキンシップで発散させましょう。
物を投げた後にこちらの様子をうかがっている場合
物を投げた後にこちらの様子をうかがっていたら、かまってほしいというサインです。
一緒に遊んであげたり、その時々の子供の気持ちに応えてあげるようにすると、子供の気持ちは満たされていきます。
子供の気持ちに応えてあげると、子供との信頼が強くなります。
そうすると、こちらの言い分も聞いてくれやすくなるので、物を投げた時にしつけをするといいでしょう。
物を投げる子供へ有効な声掛けとは?
しつけをする場合は、「物を投げないで」などの、「~しないで」というよりも、
というように、「~して」という言い方にしてみましょう。
そうする方が子供は大人がしてほしい行動のイメージをしやすくなるため、こちらの意図が伝わりやすくなります。
また、投げたことで周りに迷惑をかけた場合は、その子にそうしてもらいたいと思う事をまず自分がしましょう。
子供は親の様子をよく見ています。
そして、真似をするのも得意です。
大人の様子を見て、こういう時はこうするものだと子供は学習します。
自分が生きた見本になるように、体でお手本を示しましょう。
物を投げるのはイヤイヤ期だけの症状?いつまで続く?
もう少し大きくなって落ち着いたら物を投げなくなるかな…と期待したくなりますね。
言葉での意思疎通が出来るようになり、会話で自分の意思を伝えることが出来、またそこで満たされることが出来ると物は投げなくなるかもしれません。
ただ、会話が出来るようになっても自分の意図したことがなかなか伝わらなかったり叶わなかったりすると、不満を抱き、自分は不満に思っているという事を伝えるためにまた物を投げるかもしれません。
大人になっても物を投げる人がいるくらいですから。
物を投げることはいけない事と決めて子供と接するよりも、先ほど紹介したように、どうしてその子が物を投げたくなるのかという部分に目を向けて対応していくと物を投げることはしなくなるでしょう。
また、子供に意識を向けるのと同時に、物を投げる子供を見て自分がどう感じるかという部分にも注意して感じてみて下さい。
子供が物を投げる時、あなたはどんな感情が湧き出ますか?
最初は、興奮や怒りしか感じないように思えても、よく感じてみると、そこには「恐れ」があったり「罪悪感」があったり「悲しみ」などの感情があったりします。
実は、今まで生きてきた中で抑え込んできた感情があると、子供はそれを無意識に見抜き、その浄化されていない感情をわざわざあぶり出すようなことをすることがあります。
これは、子供が無意識にその人に癒しをもたらそうとするためです。
抑え込んだ感情は、抑え込んだままでは消える事はありません。
感情は、感じ切ってこそ浄化され、癒されます。
子供が物を投げた時、自分の中にある感情を見つけてみて下さい。
そしてそれを感じ続けてください。
感じることで、ふっとその感情が消えたり、すーっと薄らいでいくような感覚が出たら、自分の中で抑え込んでいた感情が癒され消えていったサインです。
自分の感情を感じるという事は、自分を大切にするという事でもあります。
感情を感じる事もそうですが、ほっと一息つけるような習慣を取り入れたり、小さなことでも自分が喜ぶことを日常に増やしてみましょう。
すると、そういえば最近子供が物を投げなくなったとか、悩ましく思っていたことが気にならなくなったというような事が不思議と起きたりします。
子供をよく見てあげることも大切ですが、それ以上に自分の事をよく見て、自分を大切にして生きてみてください。
自分を大切にする方法がよく分からない方は、こちらの動画も参考に見てみて下さい。
自分を大切にする方法【精神科医・樺沢紫苑】
物を投げる!壊す!癇癪が激しい場合は病気を疑ったほうがいい?
もう手が付けられない…これってもしかして病気?と疑りたくなるような時もあるかもしれません。
私自身の体験談ですが、小さい頃は自分の意思を曲げることなく、やりたいと思った事は何が何でもやる子でした。
家族でお出かけしていても、こっちの道に行きたいと思えば1人でも行き、置いていかれそうになったらその場に座り込んでテコでも動きないぞという状態でした。
親は児童養護施設に預けることも考えていたくらいです。
気に入らない事があると私もよく物を投げる子でした。
私の場合ですが、物を投げるのは怒ったときで、その物が傷ついてもいいと思って投げていました。
物を投げないでねと注意されて、物を投げることは悪いことだと思い込みます。
そんな悪いことをする私は悪い子だから、だから物を投げるという風にも思っていました。
自分は悪い子だというように自分を責めて、自分を傷つける代わりに物を傷つけていました。
今から思うと、私は幼いころに自分の欲求を叶えてもらう事が少なく、自分を大切に扱ってもらえていないと思っていました。
そうすると、自分を大切にしない子に育ちます。
家族からしたら、ご飯を食べさせ、お風呂も入れて、おもちゃも与えて、病気になったら看病してと、それなりに大事にしていたと思います。
でも、大人が子供に与える愛情が、子供が求めているものと違うものを与えているときは、子供は大切にされていないと感じます。
自分を大切にしない子になると、行動の1つとしてあらわれるのが、物を投げるという行為です。
物を大切にしない子は、自分も大切にしていないということです。
この子は何か疾患があるのかもしれないと気をもむ前に、子供の求めている愛情を与えられているかどうかを気にしてみて下さい。
もしかしたら、こちらは愛情たっぷりに接しているつもりでも、子供からしたら大切に扱われていないと思い込んでいるかもしれません。
まとめ
物を投げる子供にどう対応したらいいのか、今まで紹介したポイントをまとめます。
子供が物を投げる時の状況3パターン
- 純粋に楽しんでいる
- 解消しきれない気持ちを表現している
- かまってもらいたい
物を投げる子供の対処方法
- 壊れても大丈夫なものだけ子供の手の届くところに置く。
- 子供の気持ちを代弁したり、抱きしめたりする。スキンシップをしてエネルギーを発散させる。
- 一緒に遊ぶなど、その時々の子供の気持ちに応えて子供の気持ちを満たしてあげる。
物を投げる子供へ有効な声掛け
- 「~しないで」というよりも、「~して」という。
- 誰かに迷惑をかけた場合は、子供にこう対処してほしいと思えることを自分でまずお手本を示す。
感情と愛情について
- 物を投げる子供に気を使ったり疲れたりする前に、まず自分の感情を意識して感じ、自分を大切にする。
- 物を大切にしない子は、自分も大切にしていないということ。
- 自分が与えたい愛情ではなく、子供の求めている愛情を与える。
子供の求めている愛情を与えるには、まずは自分自身が満たされている必要があります。
子供の事も気がかりでしょうが、子供を愛するために、まずは自分を愛し、大切に扱いましょう。
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