1年の中で最も寒い時期、2月がやってきます。
暦の上で2020年の「立春」は2月4日。
暦の上では冬としては最後の月となり厳しい寒さの中にも春の訪れに期待を寄せ始める、そんな時期でもあります。
そんな2月に取引先など仕事上のお付き合いのある方に手紙を書くことになった場合、どのような時候の挨拶から書き出しをしたら良いのでしょうか?
適切な季語を使うことで、もうすぐ春になることへの期待=前向きな印象を与える文面となり、ビジネスにおいてもきっと良い影響を与えることになるでしょう!
そんな役に立つビジネスで使える2月の季語やあいさつ文の例をご紹介します。
2月の季語一覧 ビジネスのあいさつで使える季語はこちら!
時候の挨拶では “〇〇の候(こう)” という漢語調の言い回しがビジネスの上では使いやすいです。
そしてこの〇〇の部分に入れる季節の様子を表す言葉が季語となります。
2月の時候の挨拶 季語の例
<初旬> | <中旬> | <下旬> |
---|---|---|
晩冬 | 余寒 | 春寒 |
酷寒 | 梅花 | 向春 |
立春 | 残冬 | 三寒四温 |
軽暖 |
節分が過ぎ、暦上では「立春」を迎えることになりますから、厳しい寒さを連想される季語が使えるのはこの時期まで。
立春を過ぎてからの寒さは<残っている寒さ>という考え方になるのでそれに見合う季語を。
そして下旬にはもう“春はすぐそこ”というイメージのある温かみを含む意味合いの季語を用いるのが良いでしょう。
ビジネスで使える2月のあいさつ文例5選
漢語調の言い回しを用いた挨拶文の例
- 立春の候、貴社におかれましてはますますご発展のこととお慶び申し上げます。
- 晩冬の候、皆様ますますご壮健のことと拝察いたします。
- 梅花の候、貴社ますますご清栄のこととお慶びもうしあげます。
- 春寒のみぎり、ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
- 向春のみぎり、皆様ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
また “~の候” や “~のみぎり”といった言い回しを使わずに、時季を表す口語的表現で時候の挨拶とする言い回しもあります。
漢語調の表現では固すぎるな、と感じた場合はそちらを用いると良いでしょう。
口語的時候の挨拶 書き出し文の例
- 寒さなお厳しき折、
- 早くも梅のつぼみがふくらみ始める季節となりましたが、
- 節分も過ぎたとはいえ、まだ寒さの残る日々、
- 寒の戻りの激しい今日この頃ですが、
- 水ぬるみ季節を迎え、
- 寒い中にも春の足音が聞こえてくるような時期となりました。
- 少しずつ日足も伸びて参りました。
季語としては、特に「梅」や「節分」が含まれるものが2月であると分かりやすいようです。
そちらを用いて、春の訪れを心待ちにするような書き出し文が良いですね。
※その他2月を表す言葉
如月・雪解け・東風・春菊・わかさぎ・白魚・受験・春一番・まんさく・雪虫・・など
季語とはそもそも何? 何種類あるもの? 誰が決めるもの?・・・季語の歴史 いつから手紙に季語を入れることになった?
季語は俳句で用いられる印象が強いですが、古くは万葉集の時代から歌の中に“季節を詠み込む”という慣例はあり、一説によると平安時代後期には体系化されていたともいわれています。
季節の移ろいに敏感な日本人のこと、相手を思って手紙をしたためるなかで暑さ寒さなど、その時期折々に相手への気遣いを季語を用いながら示してきた、という流れがあるのかもしれません。
季語を用いた挨拶が=日本人の思いやりの心を表すものとするなら、明確な季語というものの規定は誰が決めるものでもなく、その数も人を想う心の分だけ無限大に存在するのではないでしょうか?
手紙に季語を入れないと失礼に当たる?
そのような「季語」を手紙に入れないことは、失礼に当たってしまうのでしょうか?
相手を想うワンクッションが無いことになりますので、いきなり本件に入ってしまった文面はただの<報告書><通達文>のような無機質なものに思われて良い印象を与えないものとなってしまうかもしれせん。
基本、季語を含む時候の挨拶を入れるのはマナーではあるのです。
ただビジネス上ということですと、その手紙を作成するシチュエーションは、様々なケースが想定されます。
本当に急を要することであれば、時候の挨拶ですら「そんな悠長なことを述べている場合の内容ではないだろう!」と思われてしまう可能性も無きにしも非ず・・・。
そのような場合には時候の挨拶を省くための「頭語+結語」を用いて、本文にすぐつなげられるようにしましょう。
通常、手紙での「頭語+結語」は
拝啓(頭語)+ 敬具(結語)などを用いるのが多いかと思いますが急用を示すものとして
冒頭にある「頭書」をまず目にすることで、内容の緊急性を相手の方も察知してくれるはずです。
まとめ
時候の挨拶では “〇〇の候(こう)” という漢語調の言い回しがビジネスの上では使いやすい。
〇〇に入る2月の季語は代表的なもの
- <2月上旬> 晩冬 酷寒 立春
- <2月中旬> 余寒 梅花 残冬
- <2月下旬> 春寒 向春 三寒四温 軽暖
など。
漢語調を用いた挨拶文の一例
拝啓
立春の候、貴社におかれましてはますますご発展のこととお慶び申し上げます。
(本文)
敬具
漢語調の表現では固いないなと思われる場合、口語的表現な時候の挨拶とする言い回しもあり。
口語調を用いた挨拶文の一例
拝啓
早くも梅のつぼみがふくらみ始める季節となりましたが・・・
(本文)
敬具
季語を含めた「時候の挨拶」は相手を思いやる姿勢を示すビジネスレターにおいてはマナーの一つ。
ただ急を要する内容の場合には
(頭語) 急啓/急呈/急白 + (結語)早々/敬具/拝具
を用いることにより、すぐに本文に入ることも可能。
参考までに:
Wardで文書を作成する際に、挨拶文を選択して挿入できる機能のご紹介
ビジネス文書などでは、ある程度形式的でかしこまった書き方が求められます。
慣れていないと難しいですよね。
今回ご紹介した2月の季語を用いた時候のあいさつ文で、皆様がビジネスパートナーとより豊かなコミュニケーションがとれる関係性を築けて頂ければ幸いです。