毎年の初詣は、いつもいくところは決まっていますか?
地元で新年を迎える人は、そのまま近所の神社やお寺にお参りにいくのが恒例になっているかもしれませんね。
でも来年は、令和最初の初詣です。
観光もかねていつもと違うところにいってみたいと思いませんか?
もし違うところにいくなら、せっかくなので、ちょっと変わった神事や行事をしているところにいってみたいですよね。
そんないつもと違う初詣をお探しのかたに紹介したいのが、京都の八坂神社で元日に行われる白朮祭(をけらさい)です。
京都では有名な神事なんですが、京都以外の人にとっては「八坂神社といえば祇園祭は知っているけど、白朮祭って?」というかたの方が多いかもしれません。
そんなひとでも魅力いっぱいの八坂神社で令和最初の2020年初詣を楽しめるように、白朮祭のこと、そのみどころや周辺駐車場の状況、そして八坂神社の魅力について紹介していきたいと思います。
白朮祭2020!どんなお祭り?
白朮祭(をけらさい)は、京都市東山区にある八坂神社で毎年元日の早朝に行われている新年最初の神事で、一年の安泰を祈る伝統行事です。
元日午前5:00から本殿前でとり行われ、13個の折敷(おしき=木の角盆)にのせられた鉋屑(かんなくず)に、事前に古式にのっとって灯された御神火を点火して疫気邪気を祓うというものです。
そのあとその御神火を本殿前の石畳に順に投げ落として(投げる行為には祓うという意味があります)いき、地面に落ちた御神火から参拝客が無病息災を祈願しながら吉兆縄という火縄に火を燃え移らせて持ち帰ります。
また、前日の大みそかから境内の「をけら灯篭」という灯篭に灯されている火を吉兆縄で持ち帰る「をけら詣り」も行われており、こちらも八坂神社年越しの伝統行事になっています。
ぐるぐる吉兆縄をまわして持ち帰る姿がニュースで取り上げられたりもしているので、をけら詣りなら聞いたことがあるという方もいるかもしれませんね。
八坂神社の境内では、大晦日の風物詩【をけら詣り】が始まっております。
をけら木を炊いた火を火縄に移して持ち帰り、神棚に灯したり雑煮を炊く火種として用いたりして新年を祝います。
今は「をけら火」を電車に持ち込めませんのでご注意を。 pic.twitter.com/rTvEnqgVt4
— 阪急電鉄【公式】 (@hankyu_ex) December 31, 2015
この持ち帰った御神火は、それを火種としたかまどなどで調理した料理を食べるとその1年は健康に過ごせるという願掛けになっていたのですが、近年では危険防止のため公共交通機関で持ち帰るのは禁止されていて、実際に持ち帰れる人はほんの一部の人になってしまっています。
そのため門のところに火消し用の水が入った桶がおいてあるのですが、消して持ち帰った火縄にもご利益はちゃんとあるようで、燃え残った火縄を「火伏せ(火除け)のお守り」として台所にお祀りしておくといいそうです。
白朮祭の混雑状況は?
白朮祭の当日は、大みそかから行われる「をけら詣り」や、通常の初詣の参拝客(全国初詣ランキングトップ10に入るほど!)もいるため、たいへん混雑します。
それこそくるくるまわす火縄が当たるんじゃないかと思うほどの大混雑なので、八坂神社にいく際には万が一火にふれても燃えにくい服装でいくようにしましょう。
そんな混雑状況なので、大みそかの23:00頃から元日の朝にかけて通行規制が行われます。
規制が行われると、西楼門と北門が入り口となり、出口は東北門と玉光門、南楼門となるので、参拝する際には行先にご注意ください。
とはいっても、神事だけをみるのであれば早朝5:00前にいけばいいので、さすがにその時間ともなればピークは過ぎて多少なりとも人は減ってきています。
なので神事だけが目的なのであれば、その時間にいくのも一つの手なのではないでしょうか。
ただ、その時間にいくとをけら火を移す吉兆縄が手に入りませんので、火をいただいて帰りたい場合は吉兆縄を事前に手に入れておく必要があります。
白朮(をけら)とはなんのこと?
をけら詣り、白朮祭で焚かれる火には、「白朮(びゃくじゅつ)」というオケラの根茎が混ぜられています。
オケラは昔から生薬としても有名で、漢方薬に用いられたり、お正月に飲むお屠蘇の屠蘇散の主成分にもなっています。
昔は山地や田畑のそばでもみられましたが、現在では京都府のレッドデータブックに絶滅危惧種と指定されていて、野生でみることはほとんどできなくなっています。
また、白朮は燃えると煙から独特ないい匂いがします。
その独特の匂いや生薬としての薬効から、昔からオケラは病をもたらす邪気を祓うと考えられきました。そのため、オケラをまぶした「おけら火」で無病息災や厄よけを祈るようになったといわれています。
白朮祭2020の会場周辺の駐車場や交通規制は?
八坂神社の駐車場は40台分しかないため、大みそか、元日は満車でまず使えないと思っておいたほうがいいでしょう。
近くに京都市営の円山駐車場があり、そちらは収容台数が130台もありますが、周辺道路は大渋滞で、おまけに交通規制も敷かれるので、どうしても車でいきたいというとき以外は公共交通機関を利用したほうが安全です。
いちおう周りにコインパーキングもありますが、こちらも停めるためには早い時間にいって停めておかないとすぐ満車になってしまうので、そのぶん駐車時間が伸びたり、おまけに三が日は駐車料金もあがっているので、こちらもあまりおすすめはできません。
白朮祭2020!みどころ3選! その1:をけら詣り
大みそか午後7時からの「除夜祭」のあとに「をけら灯篭」に点火されるをけら火を吉兆縄に燃え移らせて持ち帰る「をけら詣り」。
白朮祭に先立った12月28日、午前5時よりヒノキの火鑚杵(ひきりぎね)と火鑚臼(ひきりうす)を使って火を起こし、その御神火を本殿内の「をけら(白朮)灯籠」に移す鑚火式(さんかしき)が行なわれます。
この「鑚火」とは、火を起こすことを指し、神事で使われる火の多くはこの方法で鑽(き)り出されます。
このとき本殿内の「をけら灯籠」に灯された火は、この日から1年間灯し続けられます。
そして大みそかの夜7時から行われる除夜祭が終わったあと、本殿の「をけら灯籠」の火を、境内に数か所設けられた「白朮火授与所」の「をけら灯籠」に移し、参拝者の願いが書かれた「をけら木」がくべられ、元日早朝まで焚かれ続けます。
この燃える炎の中に吉兆縄という火縄を差し入れ、祈願しながら火縄に移して火を持ち帰るのが「をけら詣り」です。
「をけら灯篭」のある「白朮火授与所」は境内にいくつかあるのですが、正門前の「白朮火授与所」にはやはり大勢の人が集まります。
八阪神社と言えば『をけら詣り』。境内3か所の「をけら灯籠」の準備が整い、あとは、鑚火式できり出した火を移すのみとなりました。火を竹でできた火縄(吉兆縄)に移し持ち帰り、神棚の御灯明やおくどさんの火種に使います。 #kyoto #京都 #大晦日 pic.twitter.com/H281JvMgGO
— 京都五感処-京都Loversフォーラム- (@Kyoto_Lovers) December 30, 2017
少し離れた位置にある「白朮火授与所」などは人も少なくなっているので、早く火をいただきたいという方は、ほかの空いている「白朮火授与所」を探してみてはどうでしょうか。
なお、この火を移す吉兆縄は、大みそかに八坂神社を訪れると境内のあちこちに立っている売り子から授与してもらえます(ひとつ700円)。
境内にいけば縄の束を担いだ奇妙なかっこうをしている人がいるので、すぐにわかると思います。
をけら詣り 2011(八坂神社)2
白朮祭2020!みどころ3選! その2:白朮祭
12月28日に鑚火式で起こされた火を使って行われる神事が「白朮祭」です。
元日の午前5:00から行われる一年最初の神事で、本殿前に並べられた13個の折敷(おしき)に、乾燥させた白朮の根をまぜた削掛(けずりかけ)を盛り、本殿の「をけら灯籠」からとった御神火をつけて疫気邪気を祓います。
そのあとこの火を本殿から前の石畳に投げ落とし、先ほどのをけら詣りと同じように参拝客が吉兆縄に火を移して持ち帰ります。
ただ、こちらは「をけら灯篭」の火と違って、地面に落とされたあとすぐ燃え尽きてしまうので、ここから火をとりたい場合はすばやく縄に火を移す必要があります。
時間や早朝にいく体力があるかたは、よりご利益がありそうなこちらのをけら火をいただくことに挑戦してみてはいかがでしょう。
2012-白朮祭(八坂神社)
白朮祭2020!みどころ3選! その3:くるくるまわる吉兆縄
をけら詣り 2011(八坂神社)3
をけら詣りで火縄に移した火を持ち帰る際、火を消さないように火縄をくるくるまわしながら帰る姿は、八坂神社年越しの風物詩になっています。
その光景をニュースなどでみたことがあるかもしれませんが、実際にその場で見る真っ暗な道を御神火のついた吉兆縄がくるくるまわっている様はかなり幻想的で、初詣ついでにその光景を見るだけでも十分な価値があります。
と、いっておいて野暮な話になりますが、この縄は一般的な火縄ではなく火が消えにくいように薄くそいだ竹でできているので、実はぐるぐるまわさなくても意外に火は消えないそうです 笑
白朮祭が行われる八坂神社はこんなところ!
白朮祭が行われる八坂神社は、みなさんには日本三大祭りの1つ祇園祭が行われる神社としてのほうがなじみがあるかもしれませんね。
京都の東に鎮座する八坂神社は、全国にある八坂神社や素戔嗚尊(すさのをのみこと)を祀る神社の総本社です。
創祀には諸説あるようですが、656年に朝鮮半島からやってきた使節が、朝鮮の神話の舞台となっている牛頭(ごず)山の神を祀ったことが始まりといわれています。
また別の説では、876年に南都(奈良)の僧・円如(えんにょ)が、薬師千手などの像を安置したことが始まりともいわれています。
その八坂神社の主祭神は、素戔嗚尊、櫛稲田姫命(くしなだひめのみこと) 、その二神の8人の子ども・八柱御子神で、そのほかにも摂社末社など含めると数多くの神様が祀られています。
その摂社末社一つ一つが違うご神徳を持っておられえるので、八坂神社にはたくさんのご利益があるといわれています。
その中でもやはり人気なのは、主祭神が素戔嗚尊、櫛稲田姫命ということと、猿田彦命(さるたひこのみこと)と宇受女命(うずめのみこと)が祀られている太田社もあるということで、縁結びのご利益ですね。
また、女性に大人気の「美御前社(うつくしごぜんしゃ)」があって、この社殿前に湧き出ているご神水を2、3滴肌につければ、肌だけではなく心まで美しくなれるといわれています。
それを目当てに祇園の舞妓さんも通っているほどご利益があるようです。
このほかにも、芸事にご利益がある「太田社白鬚神社」や「厳島(いつくしま)社」があったり、
- 厄除け
- 病気平癒
- 疫病退散
- 商売繁盛
- 家内安全
- 子孫繁栄
- 安産
- 開運成就
など、さまざまなご利益があって、まさに「災厄しらずの神社」となっています。
また、八坂神社の魅力はこのさまざまなご利益だけではなく、ここだけでみられる祇園造の建物であったり、春には桜の名所、夏の祇園祭、秋になれば紅葉と、一年中お参り以外にもみどころたっぷりで、一年通して絶好の観光スポットになっています。
まとめ
今回は、京都の八坂神社で行われる白朮祭について紹介させていただきました。
- 白朮祭は、京都の八坂神社で毎年元日早朝に行われる伝統行事の神事。
- その前の大みそかからは、吉兆縄でをけら火を持ち帰る「をけら詣り」が行われている。
- 大みそか・新年に八坂神社に行く場合は、万が一火にふれても燃えにくい服装でいきましょう。
- 白朮とは、オケラの根茎のことで、生薬効果があったり、燃やすといい匂いをだし、昔から邪気を払うといわれている。
- 周辺駐車場や周辺道路はたいへんな混雑となり、また大みそか・三が日は駐車料金も高くなるので、なるべく公共交通機関を利用したほうがいい。
- みどころは「をけら詣り」「白朮祭」と、そこでいただいた火をくるくるまわしながら帰る幻想的な光景!
- 初詣時期以外でも、八坂神社は一年中魅力的な観光スポットです。
令和最初の年明け、そして東京オリンピックなどいろいろ盛りだくさんの2020年、このご利益たっぷりな八坂神社で、幻想的な風物詩「白朮祭」「をけら詣り」を堪能しながら迎えてみるのはいかがでしょう?
八坂神社の年越し 『をけら詣り』
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