最近はワークライフバランスが社会人も浸透し、残業の見直しなどが進められています。
しかし、未だにブラック企業や残業の多い会社もあると思います。
私は看護師ですが、サービス残業もありますし、ストレスの多い職場でもありますので、精神を病んでしまう人も多く見てきました。
うつ病になると、憂鬱で気が晴れない、食欲や性欲が著しく減った、何もする気になれないなどの症状が始まり、症状が進むと、ボーっとすることが増えたり、時間を守れなくなった、遅刻や欠勤、当日の休暇連絡が増える自分を責めるような発言が増えるイライラして投げやりな態度を取ったり揉めごとが増えるなどの症状が現れます。
ここまでくると、同僚からも「なんだか最近、●●さん大丈夫?」と心配されるようなります。
自分では、「忙しくて疲れているのだろう」「通常の疲労の範囲だろう」と思っていても、上司や同僚に指摘されて、会社のメンタルヘルス相談をしたら病院の受診を進められ、うつ病と診断され、自分でも驚いている人もいるかもしれません。
うつ病と診断された場合、家族には言うべきなのか、何と言ったらいいのかと迷う人は多いのではないでしょうか。
また、うつ病では意欲が低下してしまうので、家族に相談したりすることも億劫になり、なかなか言えない場合があります。
しかし、1人暮らしの場合などでは逆に治療がしずらくなるケースもありますので、家族に報告することが良いとされます。
家族にどのように伝えればいいかについてお伝えしたいと思います。
そもそもうつ病とは?
精神活動が低下し、抑うつ気分、興味や関心の欠如、不安・焦燥、精神運動の制止あるいは激越、食欲低下、不眠などが生じ、生活上の著しい苦痛や機能障害を引き起こす精神疾患です。
診断としては、ICD-10(国際疾病分類第10回修正)やDSM-Ⅳ(米国精神医学会)といった診断基準により、症状のそろった状態像を操作的に診断することが一般的です。
治療としては、「休養」「薬物療法」「精神療法」を組み合わせます。
最近では、生物学的な観点からの研究も多く、薬物療法はセロトニンやノルアドレナリンといった脳内神経伝達物質の働きの促進を目的とした抗うつ剤が開発され、現在の治療の主流となっています。
精神療法としては認知行動療法が有効とされています。
その他、経頭蓋磁気刺激法、断眠療法、光療法、電気けいれん療法などがあります。
家族に言えない理由
- 自分自身が認められていない。
- 「まさか自分が。」と自分自身が“うつ”と認められない場合、仕事がうまくできなかったということをプライドが許さない。
- 家族に「心が弱い」と軽蔑されないか不安。
- 家族にお金のこと、身体のこと、仕事のことなどの心配かけてしまうので言いにくい。
- 病気のせいで、何事もするのが億劫になり、家族に伝えることも上記のことが心配になり、面倒に感じている。
などが考えられます。
家族に言ったほうがいい理由
メリット
治療の基本は休養と服薬です
家族にお願いできることは依頼して、しっかりと休むことが大切です。
上記で記載したように、医療費を軽減するためには手続きが必要ですが、病状によっては自分でなかなか手続きに行けない場合があります。
申請した月から対象となりますが、さかのぼって適用はできないため、注意が必要です。
内服管理をしてもらえ、飲み忘れを防げる
処方される薬は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や抗うつ薬、睡眠薬、抗不安薬など症状に合わせて数種類処方されます。
また、うつ病の薬は、飲んだらすぐに効果が出るというものではなく、効果があらわれるまでに2~4週間ほどかかります。
また、毎日決められた量をきちんと飲むことが大切です。
毎日飲むことで、血液中の薬の濃度が安定し、効果があらわれます。
「飲んでも変わらない」と途中で辞めてしまったり、「今日は調子がいいから」と急に薬を飲むのを止めてしまうと、「中断時出現症候群」という症状(吐き気、嘔吐、しびれ感、不眠、不安、焦燥感)が出ることがあります。
家族に伝えることで、きちんと薬を継続して飲めているのかチェックしてもらうことができます。
家族と外に出ることで気分転換になる
うつ病が進行している場合、特に一人暮らしの人は自力での回復が難しい傾向があります。
外に出たいなと感じても外に出ることが難しく、結果的に自宅で延々と過ごしてしまう場合が多いのです。
また食事に関しても、コンビニやインスタント食品で済ませてしまうなど意欲や食欲の低下に繋がります。
また、一人の時間が多いと、引きこもりがちになるので、パートナーや家族、友人などに頼ることも大切です。
ポイントは、自分が「今日は外に出てみたいな」と思ったタイミングでパートナーや家族、友人と一緒に過ごすことで心身の休養につながると言われています。
家族に診療に付き添ってもらうことで、自分では伝えられないことを代弁してもらう
「今の自分の身体の状態を正確に説明してください」と言われた場合、自分の身体の状態を言葉にすることが難しいことがあります。
うつ病の場合だと健康なときに比べて「えっと、あの、うーん…」などの言葉が圧倒的に増えていきます。
医師に対して自分の体調を説明するというのが非常に重要なポイントになります。
自分の心の状態と体の状態を詳しく説明することができれば、医師も軽度が重度が判断しやすくなります。
それにより、薬の量も変わります。
その他
- 気分の落ち込みが激しくなり、自殺などの行動に注意したり、普段と違う様子をキャッチしてくれる。
- 家族に告白したことで心の重荷が1つなくなり、安心感が増える。
- 家族に嘘をつかなくてよくなる。
- 最近どうなの?などと電話があったときに、無理に取り繕った返事をしなくてもよくなります。
デメリット
- 家族が理解してくれない、受け止められないとき本人のストレスとなる。
- よかれと思って「ありがた迷惑」なサポートをされる。
家族への伝え方は
伝えられなくて悩む場合は、やはり家族と離れて暮らしている場合ではないでしょうか?
同居の場合は、様子が変だと先に家族が気づくかもしれません。
1人暮らしの場合、家族と顔を合わせることがないので、手紙や電話・メールで伝えてもいいと思います。
電話が苦手な方もいるかもしれませんが、事前に文章を準備しておくことができます。
電話でどう伝えるか考えてみました。
まずは、伝えられた家族の方も受け止める時間が必要だと思うので、「うつ病の診断を受けた」という事実だけ伝えられればいいと思います。
どんな接し方をして欲しいか伝えるには
自力でどうして欲しいのか伝えることは難しいこともあります。
だって自分が一番辛いんですから。
なので、家族サポートのHPを伝えて、「これを見て」と伝えるだけでも十分だと思います。
上記のデメリットで上げた、「余計なサポート」も避けられます。
- まず実家や家庭は安心できる場であって欲しい。
- 励まさないで欲しい。
- 無理に特別なことはしないで。
- 大きな決断は先延ばしにして。
- 受診に付き添って。
(厚生労働省HP)
最後に
これまでの情報をまとめます。
- 現代人の誰もがうつ病の予備軍です。
- 言えない理由として、自分自身がうつ病と認められない場合が、病気のせいで意欲が低下している場合がある。
- 治療の基本は休養と服薬。
- 家族に伝えることで休息を取りやすくなったり、治療を続けやすくなるなどのサポートが得られる。
- 治療には自立支援医療制度というものがある。
- 家族には手紙や電話など自分が伝えやすいものを使う。
- 事前にどのように接して欲しいか、伝えておく方法もある。
最初は「まさか自分が・・・。」と受け止められないこともあると思います。
家族に余計な心配をかけてしまう・・・せっかくいい会社や大学に入ったのに、家族をがっかりさせてしまう・・・と。
しかし、家族にとってはあなたがさらに思い詰めて重症化してしまう方が心配だと思います。
以下にNHKのHPに掲載されている体験談の抜粋です。
私自身苦しかったのは、「自分の心が弱いから仕事や家庭の重荷から逃げようとしているだけだ」、「頑張りが足りないんだ」と、自分の性格や考え方を責めるばかりだったせいもあると思います。
でも、心療内科の先生から、「必ず薬で治る」「神経の伝達のメカニズムが上手くいっていないだけで、君の性格や考え方が悪いわけじゃない」「もう頑張らなくていい」そう言われて、随分楽になりました。
私は自分自身がきちんと自分の病気を理解して、きちんと向き合い、気合いじゃなくて薬で治せる病気だということを理解して、治る自分を信じることが大切だと思えるようになりました。
私はまだまだ食べることも、動くことも、考えることも億劫で、不安や焦燥感など表現のしようもない気持ちにおそわれることも多いですが、支えてくれる人がいる、と素直に思えたことで、救われたような気持ちでいます。
まずは自分が病気であり、治療、休養が必要なことを理解する必要があります。
「うつ病になったのは心が弱いせいだ」などと隠すことはありません。
うつ病は特殊な病気ではありませんし、人1倍頑張ってきたからこそ、心が弱ってしまったのです。
また、うつ病は「治りにくい」と思われがちですが、病気のしくみや治療法に関する研究が進んでおり、治療薬も次々開発されています。
適切な治療を受ければ、必ず良くなる時期がきます。
これまで十分頑張ったのですから、家族に甘えましょう。
しっかり治療していくことが大切です。
参考動画
うつ病の家族に自分の気持ちを分かってもらう伝え方
参考図書
名医の言葉で病気を治す うつ病
専門医がやさしく教える うつ病
あなたの家族が病気になったときに読む本 うつ病
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