浮きこぼれとはどんな子?発達障害を指す?特徴は?大人でもいるの?

「落ちこぼれ」は誰でも知っている言葉だと思いますが、「浮きこぼれ」という言葉は知らない人もいらっしゃると思います。

簡単に言うと、知能が高すぎて、他の子供より浮いてしまったために、取りこぼされている人の事です。もちろん大人だけに限らず、小学校1年生の子供などにもよくあります。

今回の記事は、「浮きこぼれとは何か?」「自分の子供が浮きこぼれになった時にどうすればいい?」「浮きこぼれって発達障害?」「大人の場合はどうすればいい?」などなどの事の疑問に関してお答えします。

周りと比べて、優秀な我が子・・・でも優秀過ぎて浮きこぼれていないか心配なお子さんがいらっしゃるお母さん方や、浮きこぼれに対して関心のある親御さん方は是非参考にして下さい!

浮きこぼれとはどんな子?落ちこぼれとの違いは?

「浮きこぼれ」とは簡単に言うと、優秀過ぎて周りから浮いている人の事を言い、「落ちこぼれ」の反対の言葉を指します。ただ、双方同じ共通点は「こぼれてる」という事です。

「こぼれてる」という事は、言い換えれば「疎外されている」ということです。優秀な子でも疎外されていたら辛いものです。まずは「浮きこぼれ」に関して少し詳しく説明しますね。

浮きこぼれとはどんな子?

浮きこぼれとは“吹きこぼれ”とも言われており、学校用語の1つです。

浮きこぼれの子供は、生まれながらに知能が高く、学習意欲もありどんどん高い学力を身に着けていきます。しかしその結果、通常の授業内容では簡単すぎて物足りず、授業時間が苦痛であったり、その分疎外感を自分でも感じてしまいます。

またテストではみんなより早く終わり、しかも100点をとったりすることで、実力があるのに、周りからは「何かズルしている」と理不尽に責められたり、「勉強ばっかりしている」と揶揄されたりし、周りも阻害してしまうこともあります。

分かりきった授業を聞かないといけない苦痛や、周りからも責められたり揶揄されたりする苦痛、自他ともに疎外感を感じてしまい、登校拒否になってしまう子供もいます。

いつからその様な言葉が生まれた?

浮きこぼれは、英訳するとギフテッドと言われることが一般的です。ギフテッドの語源は、贈り物などを意味する「ギフト」であり、生まれ持って才能を与えられた「ギフトされた」という意味です。

アメリカの教育省では「ギフテッドとは、同世代の子供と比較して、突出した知性と精神性を兼ね備えた子供の事である。」と1993年に定義しています。その後日本でも浮きこぼれという言葉で話されるようになりました。

落ちこぼれとの違いは?

落ちこぼれとの違いは、知能が高く学習能力が高いというといころです。落ちこぼれは授業についていけない、授業内容が分からない、テストの点数が悪いことなどで阻害されている子供のことを指します。

言い換えれば、クラスのみんなより勉強ができなくて、疎外されてしまったり、疎外感を感じてしまったりしている子供です。浮きこぼれも疎外され、疎外感を感じてしまうところは共通してますが、その内容が正反対なのです。

ですので、「落ちこぼれ」の対義語として「浮きこぼれ」が当てはまります。

また、学校では「落ちこぼれ対策」はどこでもしていますが、基本的に「浮きこぼれ対策」はしていないのが現状であり、浮きこぼれの子供たちはほったらかしにされてしまいがちです。

浮きこぼれの子の特徴5選

では、具体的に浮きこぼれの子の特徴はどのようなものなのかご紹介します。

  • テストがすべて100点など、知能・学力が高い
  • もともとの学習意欲が高い
  • 学校の授業が簡単すぎて苦痛を感じている
  • 他の子供より知能が高い分、自分より年齢が上の人と話をよくする
  • 周りの子供と思考の差があり、疎外感を感じている

の5つが、主に浮きこぼれの特徴です。1つずつ説明します。

テストがすべて100点など、知能・学力が高い

先ほどから述べているように、浮きこぼれの子供は知能が高く優秀です。通常授業の内容はすぐに把握でき、基本的にテストは高得点。ほとんど100点の子供が多いです。

また、他の子より問題を解くスピードも極端に早く、早くテストが終わり暇を持て余している子供がほとんどです。その分他の子から疎まれたり、ズルをしているのではないかと疑われたりしてしまう傾向があります。

中には、授業で手を挙げると、簡単に全部答えてしまうので、先生にあててもらえなくなったり、避けられたりすることもあります。

もともとの学習意欲が高い

勉強ができるからこそ、通常授業だけでは足りず、他の子より先を学びたがります。塾などに通ったり、家庭教師を雇って先を教えてもらうのであれば、本人も楽しんで学べます。

しかし、学校の通常事業を学ぶ中で、先の事を先生に質問したり、宿題以上の勉強をしてしまうのは、本来いい事なのですが、そこも周りの子供たちから「優秀さをアピールしている」、「気取っている」などと疎まれる原因にもなります。

学校の授業が簡単すぎて苦痛を感じている

通常授業のレベルが低いと感じており、分かっていることを永遠と聞いている状態なので、通常授業はものすごく苦痛に感じるらしいです。大人でも分かりきったことの話を聞くのは苦痛ですよね。

また、通常授業が分かりきっているので、自分なりに先の問題を自習する子も珍しくありません。そうなると、教えている先生も面白くなくて懸念したり、周りの生徒も「カッコつけてる」などと、懸念したりしてしまいます。

他の子供より知能が高い分、自分より年齢が上の人と話が合う

同級生の子供より知能が高い分話が合わず、自分より年齢の高い子と話をしたがるようになります。授業と一緒で、同級生より1歩も2歩も理解力が早いので、当たり前と言えば当たり前です。

しかし、自分より上の人とばかり話をするので、さらに同級生との話が合わなくなってしまい、結果さらに同級生と話をしなくなるので孤立してしまいがちです。

周りの子供と思考の差があり、疎外感を感じている

浮きこぼれの子供は周りの子供より知能が高い分、「自分はみんなとは違う」という事を良くも悪くも認識してしまいます。そこから「みんなとは違う」という疎外感を自分で感じてしまいます。

周りからも「あの子は何か違う」と思われてしまい、周りからも疎外されることも多く、疎外感を強く感じてしまう傾向にあります。

浮きこぼれと発達障害の関係は?

知能が高く優秀であるのは、とてもいいことなのですが、浮きこぼれは周りとも馴染めず、孤独な子供が多いです。言い換えれば「空気が読めず、周りの子供と協調できない」という事でもあります。

空気が読めず、周りの子供と協調できないという事は、発達障害の子供にも当てはまることです。そうなると「浮きこぼれは発達障害なの?」と疑問に思われる方もいらっしゃると思います。

ですので、浮きこぼれと発達障害について説明させていただきます。

発達障害とは?

発達障害は、「自閉症、アスペルガー症候群、その他の広凡性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもの」と発達障害支援法において定義されています。

まずは簡単にそれぞれの発達障害の特徴を1つずつご説明します。

自閉症

  • 言葉の発達の遅れ
  • コミュニケーションの障害
  • 対人関係、社会性の障害
  • パターン化した行動や独自のこだわりが強い

アスペルガー症候群

  • 基本的に、言葉の発達の遅れはない
  • コミュニケーションの障害
  • 対人関係、社会性の障害
  • パターン化した行動、興味や関心の偏りが強い
  • 言語発達に比べて不器用

注意欠陥多動性障害(ADHD)

  • 集中できず不注意
  • 多動、多弁(じっとしていられない)
  • 衝動的な行動が多い(考えよりも先に動く)

学習障害

  • 「読む」、「書く」、「計算する」などの能力が、全体的な知的発達に比べて、極端に苦手。

ちなみに、「自閉症」や「アスペルガー症候群」などが公凡性発達障害に含まれます。

発達障害の特徴や症状に浮きこぼれの症状はあてはまる?

浮きこぼれと発達障害の共通点としては、自閉症やアスペルガー症候群の特徴である、「コミュニケーションの障害」や「対人関係、社会性の障害」、「こだわりが強い」などが当てはまることがあります。しかし、その根本的な内容・理由は違います。

自閉症やアスペルガー症候群では、そもそも論で、コミュニケーションが苦手であったり、周りの空気を読むことが苦手、本人にも解らない何となくのこだわりが、根本的な理由です。

しかし、浮きこぼれの場合は、周りより知能が高い分、同年代の子供とのコミュニケーションが苦手であり、同じように知能が高い人に対してコミュニケーションは問題ないです。小さな子供にどう接していいか分からない大人のような物です。

また、周りの空気を読むことが苦手なのも、理論的に正しいことを正直に話をしたり、間違いを指摘したりしてしまうが故に、空気が読めないと言われたりします。こだわりが強いのも、理論的にこうした方が正しいと分かっているので、そうしたこだわりを持ってしまいます。

ですので、浮きこぼれと発達障害は、ある意味、世間的な症状としての共通点はあるものの、その内容や理由は違います。どちらかというと、知能が低い故に疎外されてしまう「落ちこぼれ」の子供は、発達障害の可能性が高いです。

自分の子供が浮きこぼれの場合、どのように対応をする?

ただ、落ちこぼれや発達障害と違うと分かっていても、疎外感があったり孤独なことには変わりありません。知能が高くても精神的にはまだまだ子供です。なので、子供が浮きこぼれてしまった時には、大人のサポートが必要になります。

では、浮きこぼれの子供をサポートするにはどうする方が良いかご説明いたします。

親がサポートできることは?

まずは、自分の子供が優秀であるけども「疎外感や孤独感」を持っていることを理解してあげて下さい。中には「優秀だから気にしなくても大丈夫」と思われる方もいらっしゃるのですが、精神的には他の子供と変わりません。

それどころか、「何故自分は他の子供と違うのか?」などと悩んでいる子供も珍しくありません。まずは子供の話を聞いてあげて下さい。そこから、本人の希望や能力、周りとの関係性などを考慮して対応策を考えていきましょう。

知能が高くて学校の授業ではつまらないのであれば、塾に行かせたりや家庭教師を雇って、同年代よりも難しい勉強をさせるがいいと思います。もしくは自主的に勉強するのであれば、YouTubeを活用するのもいいと思います。

日本の「飛び級制度」は高校や大学ではありますが、あまり機能していない制度です。また小学生には「飛び級制度」は無いので、高度な授業を受けるには学校以外のツールを使うしかありません。そのツールを使わせるサポートを親はしてあげて下さい。

ただ、それに加えて子供に同年代よりも難しい問題ができるからと言って「威張ってはいけない」「同年代の子供を見下してはいけない」などの教育はしてあげて下さい。勉強ができても普通にしていれば、疎外されることも少なくなりますので。

学校生活はどうする?学校に行かせる?

学校生活に関してですが、学校の勉学の中には、「集団生活を学ぶ」、「ルールを学ぶ」なども含まれています。ですので、できるだけ行かせた方がいいです。ただし、虐められていたり、無視されているような状態であれば無理に生かせる必要はありません。

浮きこぼれの子供の問題は主に授業内容です。内容が分かりきった授業を我慢させてそのまま受けさせるか、先生に頼み自分なりの自習を一人だけさせるか、などの授業内容を担任の先生と話し合いをし、対応をしていかないといけません。

先生とどの様に相談する?

先生に相談するときは、まずは浮きこぼれている状態をそのまま話をしてください。そして、授業態度や休み時間の友達との関りなどの情報を聞いてみて下さい。そこから対応策を先生と考えていきます。

いじめや孤立している様であれば、授業内容よりもまずはそこの問題解決が先です。ただ、本人的に一人でいる方が楽で孤立している場合はいいかもしれませんが、無視などのいじめを受けているのであり、友達との修正が難しいようであれば転校も考えていいと思います。

いじめや孤立に問題がないのであれば、授業内容をどうするかです。先ほど述べたように、内容が分かりきった授業を我慢させてそのまま受けさせるか、先生に頼み自分なりの自習を一人だけさせるかです。リモートでの授業が通常になれば、それはそれで受けたい授業だけ受けることも可能ですが、現在ではまだ難しい状況です。

本人にとってどのように授業を受けていくか、場合によっては登校回数を減らすか等も含めて、まずは担任の先生に相談してみましょう。

浮きこぼれは大人になっても続く?

浮きこぼれが大人になって続く場合もあります。浮きこぼれ自体は大人より子供の頃の方が辛いと言われています。大人と子供の違うところは、大人は自分で環境を選んだりつくれたりできますが、子供にはできません。

また、大人は人生経験が幅広くなる分、考え方も広くなったり、出会う人の数も増える分だけ、同じような人とも出会えることもありますが、子供はそうはいきません。浮きこぼれの方は知能が高いので、大人になるとそれなりに自分に合った環境をつくったりしています。

ただ、子供時代の浮きこぼれにより、対人関係にトラウマがあったりすると、コミュニケーションが苦手であったりします。少し、大人の浮きこぼれについて説明します。

大人の浮きこぼれとは?

 大人でも知能が高く浮きこぼれてしまう人はいます。日本は良くも悪くも「同調圧力」が強く、「出る杭は打たれる」と言う諺があるように、会社などの組織に属していると、たとえ優秀でも上司や同僚から目の敵にされてしまうことがあります。

浮きこぼれの人は「思考回路が特殊」ですので、中々理解されづらいのは子供も大人も同じです。物事の解決策の手段も一般的なやり方とは違った方法をとったりするので、優秀なのに中々周りから理解されてもらえないことがあります。

また、深く考え、他の人と仲良くなるより、自分自身との対話を好む傾向にありますので、周りの理解の無さに加えて、自分自身も孤独を好むので、孤立しがちです。

浮きこぼれの子供が成長するとどうなる?

浮きこぼれの子供が成長すると、洞察力が優れているので、人のちょっとしたしぐさや発言から嘘やごまかしに気付きやすいため、いい加減な物事や人を嫌う傾向にあります。

また、理論的に正しいことが正しいとなりがちですので、人の感情が読めず周りと衝突したり、流行のものなどの世間で良いとされているものに対して、価値を見出すことが出来ない傾向にあるため、話をしても面白くないと思われたりしがちです。

ですが、優秀ですのでIT関係の社長やフリーランスでパソコンやスマホを使って稼ぐ人たちも多く、浮きこぼれていても問題なくというか、普通の人よりも人生を楽しくしている方も多いです。

まとめ

 

  1. 「浮きこぼれ」とは、生まれつき知能が高く、そのため周りと合わず疎外感を感じたり、疎外されてしまう事!
  2. 「浮きこぼれ」の特徴は・テストがすべて100点など、知能・学力が高い。・もともとの学習意欲が高い。・学校の授業が簡単すぎて苦痛を感じている。・他の子供より知能が高い分、自分より年齢が上の人と話をよくする。・周りの子供と思考の差があり、疎外感を感じている。と主に5つ!
  3. 「浮きこぼれ」は、症状としては発達障害と共通点はあるが、その症状の根本理由が違い、発達障害ではない!
  4. 自分の子供が「浮きこぼれ」になった場合は、まず理解してあげて、本人の能力や環境に合わせて親はサポートする!
  5. 「浮きこぼれ」は大人でもおり、周りとの協調性は難しいが優秀な分、稼いでいて人生を楽しんでいる人も多い!

もし自分の子供が、「浮きこぼれかも?」と思った時は、まずは親がサポートすることが大事です。知能が優秀でも、精神力が強いわけではありません。疎外感を感じていたり、受けていたりする場合が多いです。

優秀な分、喜ぶ親も多いですが、優秀だからと言って「楽」をしているわけではないです。むしろ優秀な分「苦痛」を味わっている子供が多いと言われています。

子供が浮きこぼれであれば、なおさら子供と寄り添い、親子二人三脚で子供を支えながら前に進ませてあげて下さいね!

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