台風によって「出社するか否か」を考えるとき、従業員が疑問に感じるのが「判断する基準は何」ではないでしょうか。
台風が来ると、普段より早めに出勤しないといけなかったり、出勤時や退社時に電車が止まったりしてしまいます。休みになったとしても、有休が使えなかったら嫌だなと思う気持ちもありますよね?
そこで今回は台風で会社が休みになったときの連絡方法や、有休が可能かどうかなど「会社と台風対応」についてまとめました。
労災などの情報もありますので、これを読めば会社に対する備えはバッチリ!ぜひ参考にしてくださいね!
【台風で会社が休みに!連絡はどのようにくる?】
♦台風で会社が休みになった場合連絡はどのようにくる?
判断が難しい台風接近時の出社対応については、企業の「就業規則等」に従うのが基本になります。
企業は「従業員の安全を守るべき立場」であるため、可能な限り危険を排除する必要があるので「出勤に危険がともなう可能性がある」とわかった場合には「自宅待機」や「業務の自宅対応」について速やかに連絡をすることが求められます。
連絡方法は電話やメールなどが用いられる事がほとんどです。前日に台風の影響を受ける事をわかっている場合には、直接社内アナウンスにて連絡を受ける事になるでしょう。
♦休みの場合は有休になる?
会社に責任がある休業については、休業手当として賃金の6割を従業員は請求することができますが、台風などの自然災害などによる休業に関しては、会社に責任が無いため、社員に当日の給与を払う責任はありません。
その為、台風時に会社命令で「休業」になったとしても、その日の給与はゼロということになります
有給休暇とは、「労働義務があること」を前提に労働を免除するものなので、会社が台風を理由に休日とした場合は有給休暇を取得することはできないのです。
しかし企業側が臨時休業というもの形をとらず「業務に支障がない方は有休を利用しましょう」など「有給の消化」を勧める場合もありますので、その際は有休を使うことができます。
また、会社によっては休業日の穴埋めとして土日のどちらかを出勤日として埋める場合もあります。
【台風でも休みにならない会社を休みたい・・・ 休むことは可能?】
♦台風で電車もとまっている。休むことは可能?
会社は学校と違ってみんなが台風で休んでしまうと大事な仕事が納期までに終わらなくなるなど、会社の営業に関わってきます。
台風が通過する時間帯を考慮して、自宅待機をする。またはタクシーを使って出勤するなど、遅刻をしても出勤はできるので台風を理由に会社を休むことは通用しません。
会社によっては社会人として無責任と思われるかもしれないので、安全が確認できたら休まず出勤することをおすすめします。
遅刻するときはまず上司に電話する事と、遅延証明書を貰うことを忘れずに出勤するようにしましょう。
♦どのように伝える?
台風の状況によっては「対応策を考えたが出勤できる状況ではない」ということもありえます。そんなときは情報をしっかりとまとめて上司や会社に報告を入れましょう。
②利用する公共機関は復旧の見込みがないのかどうか。
③出社できないことによってトラブルが発生する仕事はないか。
④自宅対応の許可が出た場合はどのような作業ができるのか
関係者に連絡を取り業務の調整を行なうことが最低限のマナーです。
♦台風は有休扱いになる?
就業規則に沿って判断された会社の決定の内容に反して、自己判断で会社を休んだ場合、欠勤扱いになってしまう恐れがあります。
また、会社から「出勤してください」「台風が過ぎるまで自宅で待機」等の連絡が来ていない場合も、自己判断で出勤しないと欠勤とみなされる場合があります。
台風に関する連絡がない場合は、自己判断の前に上司や責任者に連絡しておくべきです。
【台風の影響で出勤停止・自宅待機の基準は?】
「従業員の台風対策」といっても、その内容は業種や業態、従業員が従事する業務内容によって異なります。一般的には「台風に伴う休業や時差出勤」に関するルールを会社が定めることが必要になります。
翌日の休業や時差出勤を決めるための情報としては、「鉄道の運行状況」と「気象情報(警報級の可能性)」などが参考となります。
事前予知が不可能である大地震と異なり、大雨や台風などによる風水害は、被害発生の数時間~数日前には予兆を捉えることができます。
とりわけ台風による影響は、発生数日前から警告が出され、「何月何日の何時頃、何県何市辺りを、このくらいの強さの風雨が襲う」と、精度の高い予報が出されます。
また都市部の鉄道事業者は、台風接近の前日などに翌日の運行計画を発表することが多くなりました。
様々な情報を踏まえたうえで、当日の帰宅時間帯~翌朝までに「大雨・洪水・暴風」といった警報級の可能性が高いと想定される場合は、会社のルールに則って「休業・時差出勤・在宅勤務」などを指示、伝達することになるでしょう。
【台風の日に無理をして出勤をしてケガをした場合は労災認定される?】
♦労災認定の基準は?
労災は仕事中や通勤途中の怪我・病気なら100%労災認定されるわけではなく、基準に即さないといけません。
仕事中の怪我に対する労災が認定される基準は「業務遂行性」と「業務起因性」があります。
「業務起因性」とは業務が原因になったことを意味しています。
「業務遂行性」は業務中の傷病であるということを意味しています。
台風の中、仕事中に労災に遭った場合、業務遂行性はあっても業務起因性は無いと考えられ、労災とは認められません。
通達でも
暴風雨等の天災地変は「それ自体としては業務と無関係な自然現象」で、労働者は、事業主の支配下にあるか否かに関係なく危険にさらされます。ですから「たとえ業務遂行中に発生したものであっても、一般的には業務起因性は認められない」
とされています
(昭49.10.25基収第2950号)
♦出勤途中のケガは?
通勤途中の労災が認められる基準は通勤ルートに潜む危険が実際に起こった場合とされています。
通勤途中に台風によって労災に遭った場合、潜在的にある危険が起こったのではなく、台風等の天変地異は自然現象であるので、一般的には労災認定されないことになっています。
♦大混雑の電車の中で気分が悪くなった場合は?
「通勤災害」とは、労働者が通勤中に受けた災害(負傷・病気・障害または死亡)です。
「通勤」とは、住まいと会社との間、事業所から他の事業所への間、単身赴任先と帰省先との間を、合理的なルートおよび方法で移動することです。通勤のルートで事故にあった場合、通勤災害と認められます。
大混雑の電車に乗って気分が悪くなって病院へ行った場合、認定が下りる可能性がありますが、通勤災害の範囲は、近年、拡大傾向にあります。その状況が通勤災害となるのか、会社の担当者に確認しましょう。
【出勤するのは危ないけど、出勤を強要された場合はパワハラ?】
無理に出社させて事故などがあった場合「安全配慮義務違反」にあたる可能性が高くなります。
企業の評判が下がり業績が悪化する危険性が高まっている昨今の時代背景を考えると、事業運営に大きな支障がない限り、強制出社はパワハラと言われる可能性があります。
災害があるからこそ稼働しなければいけない業種などである場合は、より事前に対策やルールを決めて、労使で合意しておくのがいいのかもしれません。
【大型台風の時、コンビニやスーパー、行政勤務の人はどのように出勤をしている?】
行政に関して言えば基本的に、自宅が罹災した・親族が行方不明になった等特別な場合を除いて、出勤することになります。
全庁的に休業するという事はまず考えられないと思います。天気予報により事前に泊まり込んで対処にあたる場合もあります。
各自治体で対応が異なりますが、近年には災害での出勤要請がない場合「特別休暇」にするなどの措置を取って安全面に配慮することもあるようです。
サービス業でも近年では無理な営業をせずに、公共交通機関の運休などを考慮しながら臨時休業にする、または閉店を早めて、従業員の帰宅を促したりする動きが多くなってきています。
臨時休業になったことをSNSなどで前もってお知らせすることができるので、来店したい人は事前に確認するといいですね。
こんな感じで行政もサービス業も、働く人の安全面を考慮する動きが少しずつ広まってきてはいるようですね。
医療関係者の方は休むという選択肢が難しい職種ですので、通勤距離などを考慮してシフトを変更するなどの対応が求められます。
どうしても出勤をしなければならない場合は、台風情報を収集しながら出勤方法を考え宿泊、タクシーなどを使って対応する人が多いようです。
【沖縄や九州の人は台風の時、仕事はどうしている?】
沖縄の行政の勤務対応
①台風対策等の業務に必要な職員を除く職員に対して執務の中止を指示し、自宅待機をさせる(出勤する職員には特殊勤務手当を支給、自宅待機者には事務、事業運営停止休暇を付与)
②勤務終了時間の2時間前までに暴風警報等が解除された場合又は路線バスの運行が再開した場合は、職員は、速やかに出勤し執務しなければならない。(出勤しない場合特別休暇は付与されない)
となっています。
民間の勤務対応
沖縄の人って台風の対応能力が、本土の人に比べると非常に高く、平常運転のごとく出勤させる企業もあるようですが、基本的に本土はお休みが多いようです。
県内に展開する「フレッシュプラザ ユニオン」は、少々のことではびくともしないスーパーとして県民に認知されています。
キャッチフレーズも、「今、あいています。ユニオンですから!」というくらい閉店しないお店なので、風速よりも雨量よりも「ユニオンが臨時閉店」の一報が沖縄本島中南部民の危機意識を呼び覚ますとも言われています。
沖縄の人たちの台風の対応(台風時の過ごし方、備え方)
これを読むと沖縄の人たちは台風が来るときに慌てず対応をしていることがわかりますよ。
①島を直撃もしくは、暴風域まで台風が接近すると、小、中、高、すべての学校は休みになる(但し台風で休みが続くと、夏休みが削られる)
②路線バスが運休になれば、車での通勤はムリと判断され、会社が休みになります
③台風が通過しても海は大荒れで、物資を運ぶ船の到着が、遅くなることもあるので、2~3日分の食料を確保しておくため買い出しをする。
④台風が来ると外に出ることができないので、レンタルビデオ店が混雑する。
⑤台風が直撃すると停電になることもあるので、電気が使えるうちに、早めにご飯を炊いておいて、暗くなる前におかずを作り置きしておく。
⑥台風前後は、どこのコインランドリーも大混雑する。
⑦明日は仕事が休みの可能性が高いと思って居酒屋に集まってくる人が多く台風前夜は大忙しになる。
⑧深夜のうちに台風が急に方向をかえて、島から離れてしまったり、急に速度が早まって朝には通過すると、通常通り学校や仕事に行くことになる。
⑨台風過ぎると庭やベランダ、家の前などの清掃をする。
台風は海からの塩水を含んでいるので、洗車のためにガソリンスタンドが大混雑する。
沖縄の人たちは台風と共存しているという感じがしますね!
【台風が来る前に対応を確認しておこう!】
台風で会社がどんな対応をするのか、休みの時は有休がつかえるのかなど、台風に関する勤務体制の情報をお伝えしてきました。ポイントを簡単にまとめると下記のようになります。
②自主的に休むと欠勤に。必ず上司の指示を仰ぎましょう。
③気象情報、鉄道・路線バス運行状況など考慮して会社が判断する
④自然災害なので、台風が原因の労災認定はおりないことが多い。
⑤事業運営に支障がない場合、強制出社はパワハラの可能性がある。
⑥出勤をしなければ問題がある業種では台風情報を収集しながら出勤方法を考え宿泊、タクシーなどを使って対応する場合が多い。
⑦沖縄・九州の人は台風が来ることに自然と備え、対応している。
台風などで特別警報など出勤ができないと、その状況になってから考えるのではなく、事前に会社側でどんな対応をするのか確認しておきましょう。そうすれば慌てなくてすみますね!
各公共交通機関のHPや気象庁のHPなどを確認して情報を収集して落ち着いて行動できるようにしましょう。
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