初夏の季語で6月に使えるものは?季語一覧と解説!中旬以降も初夏?

穏やかな風やキラキラと光る緑の木々、初夏はとても過ごしやすい季節ですよね。俳句を詠むときも初夏を題材にした素晴らしい句は多く、詠んでみようと思う方も多いのではないでしょうか。

そんな初夏ですが、何月まで初夏と呼ぶかご存知ですか。実は初夏とは、5月6日ごろから6月5日ごろまでを呼びます。

6月に初夏をテーマにした俳句を詠もうとしても、6月1日から6月5日までの短い期間を詠むのは少し難しい、なんて思いますよね。今回はそんな6月にも使える初夏の季語をご紹介します。

初夏をテーマに俳句を作ろう!季語はどんなものがある?6月に使える初夏の季語一覧!

6月に使える初夏の季語はこちらです。

薄暑(はくしょ):やや汗ばむくらい暑さ、少しじめじめとしてきた6月の上旬にはぴったりの季語です。
更衣(ころもがえ):冬や春に着ていた服から夏の服へと替える様子が目に浮かびます。
夏めく(なつめく):辺りが夏の情景に近くなっていく様子、これから木々や草花が夏に向かっていく様子が想像できます。
あやめ:5月、6月に茎の先端に青紫色の花を1~3輪くらいつけるあやめの花、青紫は涼し気なイメージがありますよね、こちらも初夏にぴったりですね。

どうでしょうか。意外にも色々な季語があるのがわかりますね。

初夏っていつからいつまで?6月中旬以降も使える?

初夏とは夏の初めと書きますが、実は旧暦が関係しているため現代の暦とは異なっています。下の表で旧暦と新暦を比較してみました。あなたが思っていた季節とはだいぶ違うことがわかりますよ。

季節 四季の

三区分

旧暦 新暦
初春 1月 2月(2月4日頃~3月5日頃)
仲春 2月 3月(3月6日頃~4月4日頃)
晩春 3月  4月(4月5日頃~5月5日頃)
初夏 4 5月(56日頃~65日頃)
仲夏 5 6月(66日頃~76日頃)
晩夏 6月  7月(7月7日頃~8月7日頃)
初秋 7月 8月(8月8日頃~9月7日頃)
仲秋 8月 9月(9月8日頃~10月7日頃)
晩秋 9月  10月(10月8日頃~11月6日頃)
初冬 10月  11月(11月7日頃~12月6日頃)
仲冬 11月  12月(12月7日頃~1月4日頃)
晩冬 12月 1月(1月5日頃~2月3日頃)

驚きましたよね。旧暦では現代の5月、6月、7月が夏となっています。6月6日以降になると初夏ではなく仲夏(ちゅうか)と呼ばれ、夏の半ばという意味になるのです。

仲夏にはどのような季語があるのかこれからご紹介します。

仲夏の季語

富士の雪解(ふじのゆきげ):富士山は6月に雪解けをします。だんだんと雪が無くなっている富士山の様子を思い浮かべながら一句詠んでみたらいかがでしょうか。
梅雨空(つゆぞら):雨雲が覆っているどんよりとした空。そろそろ雨が降りそう、なんて急いで帰る学生時代を思い出します。
青梅(あおうめ):梅酒や梅酢に使われる青梅、母が台所にたってヘタを取り除いている姿が浮かびます。
紫陽花(あじさい):梅雨の時期に咲く美しい花。雨が降っていても絵になります。
父の日(ちちのひ):6月の第3日曜日に行われる父の日、手紙や絵を渡す子供の姿を思い浮かべますね。

そもそも季語とは?どのような役割?俳句の歴史や作り方を知ろう!

俳句には必ず季語を使わなければいけません。いつから季語を使わなければいけなかったのかご存知でしょうか。俳句の歴史からさかのぼって考えてみましょう。

俳句は連歌(れんが)という、和歌の上の句(五七五)と下の句(七七)をそれぞれ交互に、別の人が詠む歌がもとになったと言われています。

平安時代末期から歌われていた連歌ですが、江戸時代になり俳諧連歌(はいかいれんが)という新しい形式が生まれます。

俳諧連歌とは連歌と同じく上の句と下の句を詠んでいくものですが、内容を連歌のような美しい雅なものではなく滑稽な、ちょっと笑える内容にしたものです。

俳諧連歌では一番初めに詠まれる五・七・五の句(発句(ほっく))に必ず季語をいれなければなりません。そうして江戸時代末期から明治時代にかけて、俳諧連歌の一番初めに詠まれ発句だけを独立させたものが、後に俳句と呼ばれるようになりました。

俳句には春夏秋冬それぞれの季節ごとに決まった季語があります。それではこれから、夏以外の俳句もみてみましょう。

①春雨や 猫に踊りを 教える子
作者:小林一茶(こばやし いっさ)
季語:春を表す「春雨」が季語
雨が降っているならば、猫と遊んでいようか。という内容の句ですが、猫と戯れている様子が想像できますよね、とても可愛らしい句です。
② この道や 行く人なしに 秋の暮れ
作者:松尾芭蕉(まつお ばしょう)
季語:秋を表す「秋の暮れ」が季語
淋しい秋の夕暮れ道が想像できますが、この句の「この道」は松尾芭蕉が生涯歩んできた俳諧の道と言われています。その事を知ると違った見方になります。
③いざ子ども 走りありかん 玉霰
作者:松尾芭蕉(まつお ばしょう)
季語:冬を表す「玉霰」が季語
霰(あられ)が降ってきて、元気に走り回ろうとしている子の姿が浮かびます。

いかがでしょうか。

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