「あなたは自分のことをわかっていますか?」と聞かれて、自信をもって「わかっている」と答えられる人は少ないのではないでしょうか。
日々の生活に追われ、日常のなかで自分について立ち止まって考えることはなかなかありませんよね。他人の性格は分析できても、自分のこととなると途端にわからなくなってしまう人もいると思います。
就職や進学、子ども関係の付き合いなど、自己紹介をする場面が多くなるこの時期には、自分の長所や短所などを分析してみた結果「自分がわからない」と悩んでしまう人も多いようです。
この記事では、「自分がわからない」と悩んでいる方のため、そのような状況に陥ってしまう原因、自分を知るための方法などについてご紹介します。
自分がわからなくて辛い・・どのような状態?
自分がわからないと思うとき、人は以下のような心理状況に陥っています。
- 自分の本当の気持ちがわからない
- 自分に自信が持てない
- 自分の存在価値がわからなくなる
- 自分のこれまでの人生を否定しがちになる
- 将来に希望を見出せない
- 気分が塞ぎがちで、ポジティブな感情を感じにくくなる
では、なぜこのような状況に陥ってしまうのでしょうか?
1.他人に頼りすぎている
自分がどうしたいか考える前に他人に相談したり、他人に合わせるのが癖になっている人がいます。そのような人は、日頃から自分の気持ちに向き合うことが少なくなるため、自分の本当の気持ちを見失ってしまいがちです。
2.頭で考えすぎて感じることが難しくなっている
頭で考えすぎてしまうのも、自分がわからなくなってしまう原因のひとつです。
たとえば興味のある習い事のレッスンに通うかどうか迷っているとき、「やっぱり自分には向いていないかも」「続けられるかわからない」などと頭の中でいろいろと考え、結局行動に移さない人がいます。
考えすぎることで、自分の「やってみたい」という気持ちを抑圧しているだけでなく、実際にやってみて自分の「向き不向き」や「好き嫌い」を明確にする機会も失ってしまうのです。
3.親の育て方によるもの
幼いころから親の言うとおりに生きてきた人や、親が過保護でなんでもやってくれたという人は、自分の意見を持つことが難しくなります。その結果、大人になるにつれ「自分がわからない」という感情を抱きがちになります。
4.我慢をしすぎている
社会生活を営む上で、ある程度は我慢をすることも必要になります。
たとえば仕事がつらいと感じても、簡単に辞めてしまっては生活ができなくなります。そのため、多少は我慢して続けることも大切ですよね。でも、つらい気持ちを我慢し続けると、自分の気持ちがだんだんとわからなくなってきます。感情を抑圧しすぎると、感じる力が鈍くなってしまうのです。
5.完璧主義
なんでも完璧にこなさなければ気がすまないという性格の人は、自分の「できること」より「できないこと」に目を向けがちです。そのため、些細なことでも「自分はこんなこともできないダメな人間だ」などと考えてしまい、自分に自信が持てなくなります。そうなると、自分の意見や考えにも疑いの目を向けるようになってしまいます。その結果、自分を見失ってしまいます。
自分がわからないのは病気なの?
程度の差はあれ、多くの人が人生で一度は「自分がわからない」と感じたことがあるのではないでしょうか?「自分がわからない」と感じることは誰にでも起こることであり、普通は一過性のもので、過度に心配する必要はありません。
ただし、中には以下のような病気により「自分がわからない」と感じることもあるので注意が必要です。
1.境界性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害は、「他人に見捨てられることに対する強い不安感」「対人関係の不安定さ」などを特徴とする障害で、「自己像がわからなくなる」といった症状もあります。
他に、「感情をコントロールできず、激しく怒ったり癇癪を起こしたりする」「自分に害を及ぼす行為(浪費、万引き、性行為、薬物乱用、無謀な運転、過食、買い物など)の行動をする」「自傷行為を繰り返す」などの症状もあれば、この病気の可能性があるので、精神科や心療内科を受診することをおすすめします。
2.離人症
離人症は、「自分の身体や精神が自分から切り離されているように感じる(現実感の喪失)」症状を特徴とします。
離人症の症状は、「自分が自分でないような感覚」「自分を外から眺めているような感覚」と表現されることもあります。極度の疲労時にも見られるため一過性のものであれば問題ありませんが、うつ病や統合失調症の症状として現れることもあるため、このような症状が続くようであれば精神科や心療内科を受診しましょう。
3.うつ病
うつ病を発症すると、気分が落ち込み、考えることが苦痛になります。自分について考えることも苦痛になるため、「自分がわからない」と感じることもあるようです。
「気分が落ち込みがち」「食欲がない」「眠れない」などの症状がある場合には、うつ病の可能性があるので受診をおすすめします。
自分がわからないのは当たり前?
「自分がわからない」と感じると、落ち込んだり焦ったりしてしまう人も多いと思いますが、完璧に自分を理解している人間なんていないものです。
その証拠に、自分の適性や自分の好きなことを見つけて思いどおりの人生を送っているなんてめったにいませんよね。人間にとって、自分がわからないのは当たり前のことだともいえます。
ここでは、「自分がわからない」と感じるメリットとデメリットを5つずつ紹介します。
1.「自分がわからない」と感じるデメリット
- 自分の気持ちを我慢するのでストレスがたまる
- 自分に自信が持てなくなる
- 自分の向いていない仕事やライフスタイルを続けてしまう
- 他人に合わせすぎて疲れてしまう
- 人生が楽しくなくなる
2.「自分がわからない」と感じるメリット
①自分を知る良いきっかけになる
普段は「自分についてじっくり考えてみよう」と思うことはなかなかないですよね。今「自分がわからない」と感じている方は、自分について掘り下げて考える絶好のチャンスです!
後ほどご紹介するワークなども参考にしていただき、自分の長所や短所、興味などを明らかにして今後の人生に生かしていきましょう。
②眠っている才能が見つかる可能性がある
普段は意識していなくても、人間には誰にでも人より優れた部分があるものです。これまで自分についてじっくり考えたことがない方は、改めて考えてみることで意外な才能が見つかるかもしれませんよ。
③人生を変えるチャンス
自分についてじっくり考えてみることで、「もっと向いている仕事に転職しよう」「やりたいことが見つかったから学校に通おう」などと思い実行に移す方もいると思います。自分を知って、新たな人生を歩み出すチャンスです。
④好きなことを見つけ、生活の幅を広げることができる
人生を変えるほどではなくても、自分の好きなこと、興味のあることを見つければ、生活にハリが出て、今よりももっと楽しい人生を送ることができます。
⑤仕事や対人関係のストレスから解放される
自分について考える中で、「自分が我慢していること・嫌なこと」も見つかるはずです。見つけることができたら、少しずつ自分を解放していきましょう。自分の感情を大切にすることで、より豊かな人生を送れるようになるはずです。
自分を知るために「自分へ質問」をしてみよう!おすすめの問いかけ5選
忙しく過ごす日々の中で、自分とじっくり向き合う時間は多くないですよね。
「自分がわからない」と悩んだら、一度時間を取って自分への問いかけを行ってみましょう。以下の質問の答えを、紙に書き出してみてください。答えは一つだけでなく、思いつく限りたくさん書くのがポイントです。今まで知らなかった自分の一面が発見できるかもしれませんよ。
1.自分の好きなこと、楽しいと思うことは?
最近のことだけでなく、過去を振り返って昔好きだったこと、楽しかったことを書き出しましょう。
「海外旅行をする」「温泉旅館に泊まる」「好きなアーティストのライブを見に行く」などのイベント的なことから、「ペットと遊ぶ」「友人とおしゃべりする」「美味しいコーヒーを飲む」など、日常的な些細なことでもかまいません。普段意識していなかった自分の興味の対象が見つかるかもしれませんよ。
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