「将来、医療系の仕事をしたい、資格を取得したい。」目標をみつけたことは素晴らしいことです。
病院で診療放射線技師の女性をみかけることも多くなってきました。
しかし、今後ライフステージの変化に伴って、自分のキャリアパスも考える必要性がある、となると、この診療放射線技師という仕事は、自分に合っているのか。
実態がみえないと不安になることでしょう。
実態がみえてくれば、目標をより明確なものにできるはずですよ。
私は、約15年間、診療放射線技師として病院勤務をしています。
その中で経験した結婚、出産、育児。
これらとの仕事の両立、あり方。
女性ならではの視点で、気になる「年収」も含め、参考になる内容をまとめました。
放射線技師の女性の平均年収は?
年収は?
さていきなりですが、厚生労働省によると、年収はざっとこんな感じです。
平均年収 | 月額 | 賞与 | 年齢 | |
---|---|---|---|---|
男性 | 532万円 | 36万円 | 100万円 | 40.4歳 |
女性 | 455万円 | 31万円 | 83万円 | 34歳 |
出典:厚生労働相「平成30年度賃金構造基本統計調査」
ただ、気を付けて見ていただきたいのは、あくまでも「平均」であって、これと同等のものがもらえるわけではない、ということです。
「女性の方が収入が少ないじゃない」との声も聞こえてきそうですが、平均年齢も若いというのと、やはり出産、育児でキャリアを中断している方も多いと感じます。
そして、中断することによって、勤続年数や昇給のタイミングといったものも、男性には劣ってしまう部分が反映された結果でしょう。
女性だけの年収の中央値というのは、日本放射線技師会の紙面でもなかなか見ないですが、380前後といったところかと思います。
初任給は?
こちらも気になるところですが、こんな感じです。
平均初任給 | 従業員100人以上 | 従業員500人以上 |
---|---|---|
202,034円 | 215,701円 | 197,342円 |
出典:初任給関係職種の職種別事業所数等及び平均初任給月額
これも、経験的な意見ですが、初任給は「職場による」というのが正直なところです。
勿論、これ以上に高い初任給がもらえる職場は沢山あります。
ただ、その後の昇給や、勤務時間、呼び出し、夜勤といったところまで調べて、総合的にどうか、という問題になります。
そして、専門学校卒と大学卒でも、1万円前後の違いが出てくるでしょう。
地方や職場によって収入差はある?
あります。
私が以前勤めていた病院がちょうど県境だったのですが、県外からこちらへ通勤していた技師さんがいました。
理由を聞いたところ、まさに「県をまたぐと、収入が違うから」とのことでした。
どの仕事でも言えることですが、やはり首都圏は地方より高い印象ですね。
上でも少し触れましたが、「撮影件数」や「患者数」にも影響されるものだからでしょう。
女性の放射線技師のキャリアパスは?結婚後・産後も働ける?
「結婚後、出産後」というのは、どの仕事でも、女性が仕事を続けていくうえでぶち当たる問題ですよね。
そして、診療放射線技師という資格を持つ人間は、看護師さんのように多くないので、「代替がきかない」というデメリットが生じます。
結婚だけなら、夜勤、呼び出しに、旦那さんの理解が得られれば、何ら支障はないはずです。
ところが、妊娠、出産、育児となると、大人だけの理解では、家庭がまわりません。
子供を産んでからのキャリアパス
今まで私のみてきた例では、
- すっぱり辞めて家庭に専念する
- 子供のことはおじいちゃん、おばあちゃんに頼って、仕事に専念する。(近くに両親がいて、元気、かつおじいちゃん、おばあちゃんの同意を得た場合のみ成り立つ。)
- 子供は基本自分たちだけでみて、自分はパートまたはアルバイトで技師を継続する。(突発の休みなど、職場の理解が必要。)
といったところでしょうか。
幸い私自身は、3.の立場で、スタッフの理解を得ながら継続させていただいてます。
私が出逢った女性技師さんは、フルで、というよりパートで子供を育てながら、という人が多かったですね。
産休や育休の制度
これも職場によります。
大きな病院では、比較的整っている印象ですが、まだ女性が進出して時間が経っていない職業なので、整備される必要性は常日頃感じるところです。
どうしてもまだ、子育て経験のない「男性管理職」が多いので、「言い出しにくい」、「休みにくい」といった環境にいる女性技師さんも多いでしょう。
私自身も、前例がなかったので、今現在自分で開拓しているような状況です。
堂々と「子育てしているので」と、言いながら仕事できる時代になれば、と願っています。
今後子育てをした女性が管理職になってくれば、また状況は変わってくるかもしれませんね。
女性の放射線技師の仕事内容は?男性と仕事内容の差はある?
技師の仕事内容として、とくに男性との格差はないでしょう。
医師の指示のもと、放射線を人体にあてて検査、治療をする、扱う装置の管理をする、放射線被曝管理をする、といった仕事になってきます。
画像検査、画像診断
一般エックス線検査(レントゲン検査)
健康診断などで行われているので、最も身近なものですね。
肺の検査、骨折の有無などを調べます。
もちろん診療放射線技師資格がないと撮影できません。
CT検査
放射線を使い、身体の断面図を撮影します。
立体的な3D画像も作ることが可能です。
CT検査は放射線を使用するので、診療放射線技師の資格が必要になります。
MRI検査(磁気共鳴診断装置)
磁石と電波を使って、体内の画像を撮影します。
放射線を使用していないので、臨床検査技師が検査を担当することも可能です。
一般的には、体内の断面像を熟知している診療放射線技師が検査を担当します。
消化管造影検査(バリウム検査)
バリウムを飲んでもらい、またはお尻からバリウムを入れて写真を撮影し、病変を写し出す検査です。
これも、放射線を使うので、診療放射線技師の仕事です。
血管造影検査
大腿動脈、または腕の動脈からカテーテルを挿入し、そこから造影剤を流して血管の流れ、形などを撮影する検査です。
カテーテルの挿入は医師の仕事なので、診療放射線技師は検査室の内外で機械の操作をしたり、画像を撮影したりします。
乳房X線検査(マンモグラフィ)
乳癌の早期発見などに役立つ検査です。
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