いよいよ梅雨のシーズンを迎える6月。雨が降り続いて洗濯物も乾かない、祝日も無いからお休みも少なく、どちらかと言えば何かと気持ちがブルーになりがちな月ですよね。
かろうじて6月にポジティブなイメージがあるとすれば、ジューンブライドや夏のボーナスでしょうか(6月支給の会社が多い)。
ビジネスのうえでは、新しく配属された新入社員も仕事に慣れて落ち着いてくる頃。一方で、1年のうち最も株主総会が多く開催される月は6月であるため多忙になる方も少なくないでしょう。
このような時期に使える、6月の季語や挨拶文の例をご紹介します。美しい挨拶文で、心だけは晴れやかな日々を送りましょう!
ビジネスの挨拶文で使える6月の季語
ビジネスレター・ビジネスメール作成にあたり、まずは基本的な形式を押さえておきましょう。
- 書き出しとなるのが「頭語」 ・・・ <拝啓><謹啓>など
- それに続いて入れるのが「時候の挨拶」 ・・・ <~の候>など
- そして手紙の最後に入れるのが「結語」 ・・・ <敬具>など
「頭語」と「結語」は必ず組み合わせて使うのがルールでビジネスレターでの「頭語+結語」の組み合わせとしては
- 拝啓(頭語)+ 敬具(結語)
- 謹啓(頭語)+ 敬白もしくは謹言(結語)
などが一般的に良く利用されてます。
そちらを踏まえたうえでの一例はこちら!
“拝啓 〇〇の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
(本文)
敬具”
「頭語」に拝啓
「結語」に敬具
「時候の挨拶」に〇〇の候、貴社ますます・・・という部分
「時候の挨拶」の部分においては、〇〇にはその時の季節を表す言葉を使います。
それが季語です!
“候(こう)”とは 〇〇というように季節も移り変わってきましたが・・という意味。
6月に作成する手紙として6月を連想させるような言葉でつなぐことで、きちんとした印象のビジネス上ふさわしい文面となるのです。
その6月に利用できる季語はこちら!
入梅/深緑/小夏/長雨/梅雨/梅雨空/梅雨寒/首夏/薄暑/時候不順/紫陽花/初夏/霖雨/忙種/長雨/麦秋/夏至/短夜/空梅雨/黒南風・・・等
やはり6月と言えば “梅雨” ということもあり、上に挙げた6月を表す言葉の中にも“梅雨”にちなんだものが多いですね。
ただここで気を付けたいのはこの6月の代名詞ともいえる ”梅雨” ではありますが必ずしも6月にオールマイティーに使えるものではないということ。
日本は南北に長い地形ですので梅雨入りの時季も地域によって異なりますし、文面を作成する時点で梅雨の気配が感じられない気候であったり、逆にとっくに梅雨明けしてしまった状態であれば、そぐわない季語となってしまいます。
ちなみに北海道に送る手紙には使わない言葉です。
北海道には梅雨がないですから・・・。
また参考までに・・・
ビジネスの上では「〇〇~の候」が使われる言葉多いですが、そちらに置き換えて「〇〇のみぎり」という言葉を使うこともあります。
“みぎり” は女性に用いられることが多く、よりソフトな印象を与える時候の挨拶とすることが出来ます。
ビジネスで使える6月の挨拶文例5選
「〇〇の候」「〇〇のみぎり」の形式で使う時候の挨拶は漢語調の表現ともいわれ、キチンとした印象となるためビジネスの上では用いられることの多い言い回しとなります。
漢語調の言い回しを用いた時候の挨拶の例
- 入梅の候、貴社におかれましてはますますご発展のこととお慶び申し上げます。
- 夏至の候、皆様ますますご壮健のことと拝察いたします。
- 深緑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶びもうしあげます。
- 紫陽花のみぎり、ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
- 霖雨のみぎり、皆様ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
またしっかりとした印象というよりは、親しみのある印象を求める手紙にしたい場合には、下記のような言い回しを用いることで時候の挨拶とすることもできます。
それを口語的な表現と言います。
口語的な表現を用いた時候の挨拶文の例
- 衣替えの季節となりましたが、
- 梅雨明けの待ち遠しい今日この頃、
- 今年もはや半年を過ぎようとしておりますが、
- 雨後の緑が目に鮮やかな季節となりましたが、
- 紫陽花の彩りが雨に映える季節となりましたが、
やはり6月=雨という印象が強いイメージです。
それだけですと、じめじめしているとかうっとうしいといったマイナスなイメージに感じてしまいますよね?
ですが、紫陽花の美しさや初夏を迎える木々の緑が雨によってさらに際立たせるという内容を作り上げることで、この時期ならではの雨が醸し出す6月の美しさを感じ取ってもらえる表現にすることが出来るのです!
季語とはそもそも何? 何種類あるもの? 誰が決めるもの?・・・季語の歴史 いつから手紙に季語を入れることになった?
そもそも「季語」とは、俳句を詠む際に必ず入れなければならない季節を表す語句のこと。
日本は四季という自然の移り変わりがあるため、日本人の季節というものに対する感性が磨かれていったことで、手紙においても四季折々の情景を取り入れる挨拶から始めるという習わしが築かれてきました。
「季語」とはその素晴らしき日本人の季節に対する感性の賜物!
季節の感じ方や受け止め方はまさに十人十色。
そのため誰かが季語という言葉を定義づけるとか、いったい何種類あるのかという考えるのはナンセンスではないでしょうか?
手紙に季語を入れないと失礼に当たる?
基本的に時候の挨拶として季語を用いるのことは、ビジネスレターとしてはマナーとされています。
しかし緊急性の高い内容の手紙であった場合、時候の挨拶を入れることで内容にそぐわないものと受け止められてしまう可能性があります。
例えば「紫陽花の美しさが・・・云々」などと冒頭に書かれていると、あまり至急な内容があるとは到底思われないでしょう。
そのような場合・・・
こちらの形式を用いることで、失礼な印象をあたえてしまうことなく時候の挨拶を省いて要件にすぐ入る文面を作成することが可能となります。
もし機会が発生してしまった場合にはぜひ利用してみてください。
まとめ
- ビジネスにおいて良く使われるのは“〇〇の候(こう)” から始める漢語調の言い回し。
- 〇〇に入る6月の季語の代表的なもの
- 入梅/深緑/紫陽花/霖雨・・・など
漢語調を用いた挨拶文の一例
拝啓
入梅の候、貴社におかれましてはますますご発展のこととお慶び申し上げます。
(本文)
敬具
口語的な表現を用いることで、よりソフトな印象を与える時候の挨拶とすることも可能。
口語調を用いた挨拶文の一例
拝啓
梅雨明けの待ち遠しい今日この頃、皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
(本文)
敬具
ビジネスレターにおいては季語を含めた「時候の挨拶」を用いることが基本的なマナー。
ただし緊急性のあるな内容の手紙の場合には
の形式を用いることで、時候の挨拶を省いても失礼な印象を与えないような形式をとるのがベター。
参考:Wordで文書を作成する際に、挨拶文を選択して挿入できる機能のご紹介
ただでさえ梅雨に入り心浮かない日々が続く6月、それこそ時候の挨拶の例文を参考に雨ならではのこの時期の美しさを見つけてみてはいかがでしょうか?